「!」も「…」もない職場メッセージ──感情差が招くすれ違いとハラスメントの芽 | 一般社団法人ノン・ハラスメント協会

社内チャットで「明日の会議は10時からです」とだけ書かれていたとします。相手が怒っているのか、急いでいるだけなのか、あるいはただ事務的に伝えただけなのか——文字だけでは判断がつきません。この“感情の空白”こそが、職場でのすれ違いや不信感の温床になり得ます。

職場メッセージに感嘆詞がない理由

日本のビジネスメールやチャットでは、「!」や「…」といった感嘆詞がほとんど使われません。理由は単純で、業務連絡は簡潔・正確・効率が優先されるからです。その結果、文章から感情の要素が削ぎ落とされます。

感嘆詞がないと何が起こるのか

感嘆詞がない文章は、感情の温度がわかりにくくなります。冒頭の「明日の会議は10時からです」という一文も、声に出せば明るい調子にも、冷たい調子にもなりますが、文字だけでは判別できません。この「感情の読み取りにくさ」が、小さな誤解や距離感のズレを積み重ねます。

感情差がハラスメントを生む背景

ハラスメントは、法律上の定義や行為そのものだけでなく、感情と感覚の差によっても起こります。相手が軽く言ったつもりの言葉が、受け手には圧力や冷たさに感じられることもあります。

昔の職場は、上下関係や給与差が明確で、「上司の言葉は圧力があるのが当たり前」という前提が共有されていました。感情を読み取らなくても、業務は成立しやすかったのです。しかし今は、価値観の多様化、世代間ギャップ、そしてリモートワークの普及により、感情を読み取らないコミュニケーションは、すぐに信頼の崩壊や離職リスクにつながります。これはモチベーション低下や組織パフォーマンスの悪化にも直結します。

解決のヒントは「感情を前提にする」こと

ビジネスマナーには「明るい表情」「丁寧な言葉遣い」がありますが、メールやチャットではその表現が省かれがちです。しかし、これらも立派なコミュニケーションです。感嘆詞や温かい一言を盛り込むか、会話で補うことで、ハラスメントを未然に防ぐことができます。

すぐできる工夫

  • 社内メールで「ありがとうございます」「よろしくお願いします」など温かいひと言を添える
  • チャットでスタンプや絵文字を適切に使いニュアンスを足す

仕組み化

  • 定期的に「温度調整」の雑談や1on1ミーティングを設ける
  • 感情や感覚を確認する研修・ワークショップを実施する

こうした仕組みを業務に組み込むことで、感情差によるすれ違いを減らすことができます。これは表面化しにくい転職理由や我慢といった、ハラスメントに分類されないものの会社の損失につながる部分を減らすことにもなります。

まとめ — 感情を見落とさない職場へ

感嘆詞のないメッセージは効率的ですが、感情を読み違えるリスクを高めます。職場のハラスメントを防ぐには、感情を意識的に補い、伝わるように設計することが必要です。それは、ハラスメントの芽を摘むだけでなく、非ハラスメント文化を育み、組織の持続的成長にもつながります。


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